日本保健医療行動科学会について

設立趣意書

会長ご挨拶

現在の役員構成

現在の委員会構成

役員体制のあゆみ

中川記念奨励賞受賞者一覧

会則・規約制定と主要な事業のあゆみ

 


▼日本保健医療行動科学会【設立趣意書】

 保健・医療従事者は単に病気をみるのではなく、病気をもつ、あるいはその恐れをもつ人間をみるものだという言葉はよく耳にする。しかし実際は病気しかみていないことが多い。
 しばしば人々は、日常の苦しみや悩みを、本人の気づかないまま病気で表現したり、不健康な生活を改めることができないままでいる。しかも本人自身がそれらに気づいておらず、その気づきを手助けするはずの保健・医療従事者も十分認識がすすんでいないことがある。このような病気や不健康の側面のみならず、保健医療を考える際には、予防や健康増進といった面での行動科学的知識がなお一層重要となってくる。
 ところで、このような健康や病気の心理社会的な背景と、身体的側面の相互作用を研究しようとする行動科学が米国を中心に進歩してきた。それは、心理学、社会学、人類学、生理学などを総合的に応用し、人間の健康問題にかかわる行動(個人・集団・社会)の変容過程を実証的、体系論的に解明しようと努力している。
 こうした保健医療関連の行動科学(医療社会学、医療心理学、医療人類学等を含む)は、欧米では、医師や看護などの保健医療従事者の教育にとり入れられ、資格試験にも採用されている。しかしわが国では、このような関心はようやく高まりつつあるが、研究は緒についたばかりである。
 こうした中で、わが国において保健医療領域での行動科学的研究・教育の発展のために、社会・人文科学、自然科学の各分野の国内・外研究や学習の場づくりを目的とした学術団体の創設が必要と思われる。
1986年6月18日

▼会長ご挨拶 第13期会長 諏訪 茂樹

 私が行動科学と初めて出会ったのは、まだ大学院生だった1981年のことでした。当時、東京大学保健社会学教室の教授だった故園田恭一先生のご紹介により、旧国立精神衛生研究所の宗像恒次先生の研究室を訪れたときのことです。そこで、北米の保健医療職養成教育で使われている標準的な教科書として、Behavioral Science というタイトルの本を紹介されたのです。
 1985年には本学会の設立準備会が開催され、私も事務局メンバーの一人として参加し、初代会長に就任することになる故中川米造先生と出会いました。その後、中川先生が関東で保健医療職向けのワークショップを指導される度にお手伝いし、体験学習の方法を学ばせていただきました。それと同時に、つねに患者の側に立ち、保健医療を改革していこうとする中川先生の姿勢に、とても大きな影響を受けました。
 本学会が編集した『保健医療行動科学事典』(メヂカルフレンド社 1999)において、私は行動科学を「人間の行動を総合的に解明し、予測・統御しようとする実証的経験科学」と説明しました。行動科学は数理モデルの影響を強く受けながら発展してきましたが、今日では質的研究にも積極的に取り組んでおります。また、行動科学は対象操作に利用されてきた歴史がありますが、今日では人を単なる操作の対象として捉えるのではなく、互いに影響を及ぼし合いながら共に変化する存在として捉え、自らが変わることにも強い関心を寄せています。
 行動科学という言葉が生まれて約70年となり、本学会が設立されて今年で36年となりますが、ようやく2023年から行動科学の履修が北米での医療行為の条件となります。それに先立ち日本の医師養成課程等でも、行動科学教育の導入が進んで参りました。人を身体だけではなく意識を持つ存在としてもとらえ、人文社会科学を含む学際的な研究と教育に取り組んできた本学会の役割は、今後ますます重要になることと確信しております。
 チーム医療や全人医療の実践は、もはや後戻りできない趨勢と言えます。保健医療にかかわる多職種が参加する本学会が、患者・利用者中心の安全・安心で良質な保健医療の推進者として、今後も社会貢献を続けられるよう、微力ではありますが努力して参りたいと考えます。ご支援のほど、何卒宜しくお願い致します。
2022年9月26日(ニュースレター第105号より)


▼現在の役員構成

第13期役員<任期2022年6月1日~2025年5月31日>

〈顧 問〉
稲岡文昭(看護学)、仲尾唯治(社会学)、藤崎和彦(医学)、南 裕子(看護学)、
宗像恒次(健康科学)、Brian Hurwitz(ブライアン・ハーウィッツ)(医学、英国)、
John Launer(ジョン・ローナー)(医学、英国)
〈会 長〉
諏訪茂樹(社会学)
〈副会長〉
岡 美智代(看護学)、樋口倫子(心理・福祉学)
〈理 事〉
梓川 一(心理・福祉学)、大門恭平(健康科学 ~2023年3月31日)、
岡本響子(看護学 2022年9月4日~)、上山千恵子(看護学 2022年9月4日~)、
小林好信(健康科学)、酒井幸子(社会学)、白土菜津実(看護学 2022年8月24日~)、
末松弘行(医学)、中川 晶(医学)、任 和子(看護学)、
花家 薫(健康科学 2023年5月21日~)、蓮井貴子(看護学)、林 哲也(健康科学)、
深井穫博(歯学)、宮本眞巳(看護学)、安酸史子(看護学)、吉岡隆之(健康科学)
〈監 事〉
天野雅夫(社会学 2023年5月21日~)、河口てる子(看護学)、花家 薫(健康科学 ~2023年5月21日)
〈評議員〉
上杉裕子(看護学)、大芦 治(心理・福祉学)、岡本響子(看護学 ~2022年9月3日)、
小田和美(看護学)、上山千恵子(看護学 ~2022年9月3日)、川村千恵子(看護学)、
小林昌廣(健康科学)、紺井拡隆(歯学)、佐藤冨美子(看護学)、
島井哲志(心理・福祉学 ~2024年3月31日)、瀬在 泉(健康科学)、徐 淑子(社会学)、
平 英美(社会学)、髙橋さつき(看護学)、藤内修二(医学)、
東中須惠子(看護学 ~2023年3月31日)、久村正也(医学)、藤田裕一(心理・福祉学)、
本庄恵子(看護学)、馬込武志(社会学)、眞﨑由香(看護学)、松田 聡(医学)、
松原みゆき(看護学)、道信良子(社会学)、村岡 潔(社会学)、村上 真(健康科学)、
村田正章(医学)、元村直靖(医学)、守本とも子(看護学)、山口 豊(心理・福祉学)、
山崎裕美子(看護学)、吉村雅世(看護学)、渡辺理和(社会学)
<顧問7名,理事19名(会長・副会長を含む),監事2名,評議員29名>
2024年5月26日現在

▼現在の委員会構成

第13期役員<任期2022年6月1日~2025年5月31日>

【編集委員会(常設)】
樋口倫子(委員長)、岡 美智代、岡本響子、上山千恵子、諏訪茂樹、瀬在 泉、任 和子、
蓮井貴子、花家 薫、深井穫博、宮本眞巳、吉岡隆之
【広報委員会(常設)】
岡 美智代(委員長)、小林好信、白土菜津実、林 哲也
(ウェブサイト主担当)小林好信、(ニュースレター主担当)白土菜津実
【中川記念奨励賞選考委員会(常設)】
安酸史子(委員長)、梓川 一、末松弘行、宮本眞巳(以上、理事から選出)、上杉裕子、
藤田裕一、本庄恵子、道信良子(以上、評議員から選出)
【企画運営委員会(特別委員会)】
諏訪茂樹(委員長)、梓川 一、岡 美智代、岡本響子、上山千恵子、小林好信、酒井幸子、
白土菜津実、末松弘行、中川 晶、任 和子、蓮井貴子、花家 薫、林 哲也、樋口倫子、
深井穫博、宮本眞巳、安酸史子、吉岡隆之
(共同研究企画担当)岡 美智代、(教科書企画担当)諏訪茂樹、
(オンライントーク企画担当)林 哲也

▼日本保健医療行動科学会【役員体制のあゆみ】

歴代顧問
 相磯富士雄、日野原重明、長谷川 浩、中島紀恵子

第1期役員(1986年6月1日~1989年5月31日)
〈会 長〉中川米造
〈副会長〉相磯富士雄、園田恭一
〈理 事〉伊藤亜人、稲岡文昭、河野友信、仲尾唯治、中島紀恵子、長谷川 浩、南 裕子、
     宮地建夫、宗像恒次
〈海外アドバイザー〉Charles Leslie(米国、人類学)、Byron J. Good(米国、人類学)、
 Samuel W. Bloom(米国、社会学)、John D. Stoeckle(米国、医学)、
 Arthur Kleinman(米国、人類学)、 Nancy Engel(米国、看護学)、
 Anne J.Davis(米国、看護学)、Tamar Krulik(イスラエル、看護学)、
 Frank A.Johnson.(米国、医学)、Margaret Lock(カナダ、人類学)、
 David Mechanic(米国、社会学)、Mririam Hirschfeld(イスラエル、看護学)、
 Patrcia Archbold (米国、看護学)、illiam Holzermer(米国、看護学)、
 Virginia M. Ohlson(米国、看護学)、N.Shinpuku(WHO、医学)、
 George C Stone, (米国、心理学)、Howard E.Freeman. (米国、社会学)

第2期役員(1989年6月1日~1992年5月31日)
〈会 長〉中川米造
〈副会長〉相磯富士雄、宗像恒次
〈理 事〉伊藤亜人、稲岡文昭、河野友信、園田恭一、仲尾唯治、中島紀恵子、中村千賀子、
 長谷川 浩、南 裕子、宮地建夫

第3期役員(1992年6月1日~1995年5月31日)
〈会 長〉中川米造
〈副会長〉相磯富士雄、宗像恒次
〈理 事〉伊藤亜人、稲岡文昭、河野友信、園田恭一、高江洲義矩、仲尾唯治、中島紀恵子、
 中村千賀子、長谷川 浩、羽山由美子、藤崎和彦、山崎久美子

第4期役員(1995年6月1日~1998年5月31日)
〈会 長〉中川米造
〈副会長〉宗像恒次、羽山由美子
〈理 事〉岡堂哲雄、河野友信、黒田裕子、島内 節、諏訪茂樹、高江洲義矩、谷 荘吉、
 谷口文章、仲尾唯治、中村千賀子、波平恵美子、長谷川 浩、藤崎和彦、柳井 勉

第5期役員(1998年6月1日~2001年5月31日)
〈会 長〉宗像恒次
〈副会長〉河野友信、藤崎和彦
〈理 事〉岡堂哲雄、河村 誠、高江洲義矩、谷 荘吉、谷口文章、仲尾唯治、中島紀恵子、
 中村千賀子、橋本佐由理、長谷川 浩、羽山由美子、柳井 勉、山崎久美子

第6期役員(2001年6月1日~2004年5月31日)
〈会 長〉宗像恒次
〈副会長〉長谷川 浩、藤崎和彦
〈理 事〉朝倉隆司、石井拓男、河野友信、北山 修、高江洲義矩、谷 荘吉、谷口文章、
 仲尾唯治、中島紀恵子、橋本佐由理、南 裕子、柳井 勉、山崎久美子

第7期役員(2004年6月1日~2007年5月31日)
〈会 長〉宗像恒次
〈副会長〉長谷川 浩、藤崎和彦
〈理 事〉朝倉隆司、岡 美智代、河村 誠、戈木クレイグヒル滋子、諏訪茂樹、谷 荘吉、
 谷口文章、仲尾唯治、中川 晶、波平恵美子、楡木満生、橋本佐由理、日野原重明、藤崎 郁、
 柳井 勉、山崎久美子

第8期役員(2007年6月1日~2010年5月31日)
〈会 長〉藤崎和彦(2007年6月~2007年10)、楡木満生(2007年10月~2008年5月:会長代行)、谷口文章(2008年6月~2010年5月)
〈副会長〉橋本佐由理、楡木満生(2007年6月~2007年10月、2008年6月~2010年5月)、
 谷口文章(2007年10月~2008年5月)
〈理 事〉朝倉京子、朝倉隆司(2007年6月~2008年3月)、石井拓男、
 黒田裕子(2007年6月~2008年5月)、谷口文章(2007年6月~2007年10)、
 谷 荘吉、仲尾唯治、中川 晶、中木高夫(2008年6月~2010年5月)、
 任 和子、日野原重明、藤崎 郁、宗像恒次、森岡正芳、柳井 勉、吉岡隆之

第9期役員(2010年6月1日~2013年5月31日)
〈会 長〉谷口文章
〈副会長〉中川 晶、中木高夫
〈理 事〉朝倉京子、岡 美智代、神原正樹、諏訪茂樹、谷 荘吉、
 楡木満生(2010年6月~2012年10月)、任 和子、橋本佐由理、
 日野原重明(2010年6月~2012年5月)、藤崎 郁、宗像恒次、森岡正芳、山崎久美子、吉岡隆之
〈監 事〉西村ユミ、柳井 勉

第10期役員(2013年6月1日~2016年5月31日)
〈会 長〉中川 晶
〈副会長〉岡 美智代、吉岡隆之
〈理 事〉梓川 一、小田和美、末松弘行、諏訪茂樹、高橋裕子(2014年11月~2016年5月)、
 谷口文章(2013年6月~2013年11月)、谷 荘吉(2013年6月~2014年3月)、豊田久美子、
 仲尾唯治、任 和子、橋本佐由理、深井穫博、本庄恵子、宮本眞巳、元村直靖、守本とも子、
 森谷 満、山崎久美子
〈監 事〉戈木クレイグヒル滋子、花家 薫(2015年2月~2016年5月)、
 柳井 勉(2013年6月~2014年11月)

第11期役員(2016年6月1日~2019年5月31日)
〈会 長〉中川 晶
〈副会長〉岡 美智代、吉岡隆之
〈理 事〉梓川 一、諏訪茂樹、髙橋さつき、高橋裕子、豊田久美子、
 中木高夫(2016年6月~2017年3月)、任 和子、橋本佐由理(2016年6月~2018年7月)、
 樋口倫子(2017年6月~2019年5月)、深井穫博、本庄恵子、馬込武志、宮本眞巳、森谷 満、
 安酸史子、山崎久美子、吉村雅世
〈監 事〉花家 薫、樋口倫子(2016年6月~2017年5月)、元村直靖(2017年6月~2019年5月)

第12期役員(2019年6月1日~2022年5月31日)
〈会 長〉中川 晶
〈副会長〉諏訪茂樹、吉岡隆之
〈理 事〉梓川 一、大門恭平(2019年8月~2022年5月)、岡 美智代、
 末松弘行(2020年5月~2022年5月)、高橋裕子、豊田久美子、任 和子、
 蓮井貴子(2020年2月~2022年5月)、樋口倫子、深井穫博、
 藤崎 郁(2019年6月~2021年3月)、馬込武志、宮本眞巳、村岡 潔、
 元村直靖(2019年8月~2022年5月)、森谷 満、安酸史子
〈監 事〉花家 薫、林 哲也(2019年8月~2022年5月)、元村直靖(2019年6月~2019年8月)

▼中川記念奨励賞受賞者一覧

1998年度:藤崎 和彦
1999年度:諏訪 茂樹, 橋本 佐由理
2000年度:岡(太田)美智代
2001年度:玉木 敦子, 本庄 恵子
2002年度:藤崎 郁
2004年度:道信 良子
2006年度:朝倉 京子
2009年度:樋口 倫子
2015年度:花家 薫
2018年度:鷹田 佳典
2020年度:藤田 裕一

▼会則・規約制定と主要な事業のあゆみ

1985年10月19日 設立準備会の発足および日本保健医療行動科学会設立趣意書の採択
1986年 6月 1日 日本保健医療行動科学学会発足および会則の制定
1986年 6月 5日  年報第1巻「健康と病気の行動科学」発行
1986年 6月 8日 日本保健医療行動科学会 理事・監事選出規約の制定
1986年 6月7~8日 第1回学術大会・総会開催(星陵会館、東京)
1986年 9月23日 東京支部研究会の発足
1987年 6月 6日  近畿支部研究会の発足
1988年8月11~13日 第1回国際会議開催(パシフィック・ビーチ・ホテル、ホノルル、ハワイ、米国)
1990年 8月21日 日本学術会議行動科学部門への登録承認(番号0923)
1991年 7月18日 北海道支部研究会の発足
1992年 4月26日 第1回保健医療行動科学の研究者のための統計学研修の開催
1992年 6月 1日 学会ロゴマークの決定
1994年 6月25日 第1回英文抄録の書き方研修会の開催
1994年 6月 1日 日本保健医療行動科学会中川記念奨励賞(中川賞)内規制定
1997年 9月30日 中川米造会長永遠の眠りにつく
1998年 6月21日 第1回日本保健医療行動科学会中川記念奨励賞(中川賞)授与
1998年 6月21日 日本保健医療行動科学会奨励研究員事業開始
1999年 9月 8日 『保健医療行動科学事典』発刊(メヂカルフレンド社)
2002年 3月 9日 日本保健医療行動科学会認定健康行動科学士資格研修開始(2012年6月16日終了)
2006年 2月28日 年報投稿規定(暫定版)の制定(2009年6月27日全面改定)
2013年 6月22日 雑誌第28巻第1号『全人的なチーム医療への新たなる挑戦』発刊
2017年 3月10日 教科書『講義と演習で学ぶ保健医療行動科学』発刊
2020年 2月 1日 第1回質的研究法研修会の開催
2020年12月 5日 日本保健医療行動科学会第1回オンライントーク開催
2023年 6月17日 日本保健医療行動科学会利益相反に関する指針及びの利益相反委員会規定の制定